福岡で人を採ろうとすると、比較の相手が思ったより広いことに気づきます。同じ市内の同業だけでなく、天神・博多に拠点を置く会社、東京の会社のリモート求人、そして「今の職場に残る」という選択肢。求職者はその全部を並べて見ています。
そのなかで、小さな会社が持っている武器は給与テーブルではありません。「ここで働くと、日々がどうなるのか」を、誰よりも具体的に見せられることです。そしてその情報が置ける場所は、求人媒体の限られた入力欄ではなく、自社のホームページです。
求職者は「福岡で働く」を決めた後に、会社を比べている
福岡で仕事を探している人の多くは、勤務地についてはすでに答えを持っています。地元で育った、家族の事情がある、Uターンで戻ってきた。理由はさまざまですが、「福岡で働く」ところまでは決まっている。だから彼らが本当に迷っているのは、その次です。どの会社を選ぶか。
ここで求人媒体のフォーマットは不利に働きます。給与、休日、勤務地、必要スキル。項目が揃っている分、どの会社も同じ形をしていて、比較軸が条件だけに絞られてしまう。条件で勝てる規模でない会社が、条件の土俵だけで戦うのは効率が悪すぎます。
だから求職者は、興味を持った会社の名前を検索します。応募という後戻りしにくい決断の前に、判断材料を自分で足しに行くわけです。このとき開かれるのが自社サイトで、ここは項目の縛りがありません。何をどれだけ書いてもいい。条件以外の魅力を伝えられる唯一の場所が、実は自分の手元にあります。
効くのは「情報の粒度」であって、文章のうまさではない
では何を書くか。答えは、粒度を一段細かくすることです。
たとえば「アットホームな職場です」と書いても、何も伝わりません。読んだ人の頭のなかに映像が浮かばないからです。一方で「朝は9時に全員で15分だけ集まって、その日に困りそうなことを共有します」と書けば、映像が浮かびます。同じ雰囲気を伝えるのでも、後者だけが判断材料になります。
粒度を上げるべき情報は、だいたい次のあたりに集中しています。
入社後にまず任される仕事。半年後ではなく、最初の一か月に何をするのか。求職者が一番不安なのはここです。
一日の流れ。始業から終業まで、時間の使われ方が分かる並び。残業の実態も、ぼかすより書いたほうが結果的に信頼されます。
誰と働くか。小さな会社では、これが決め手になります。何人いて、年齢層はどのあたりで、どんな人が多いのか。
使っている道具や進め方。どんなツールを使い、どういう手順で仕事が進むのか。同業から転職を考えている人ほど、ここを真剣に読みます。
いずれも、うまく書く必要はありません。正確に、具体的に書けば足ります。むしろ文章が整いすぎていると、どこかから借りてきた言葉に見えます。
「書くことがない」のではなく、素材が手元にないだけ
いざ書こうとすると手が止まる、という声はよく聞きます。ただ、その原因はたいてい「うちには特別なことがない」ではありません。日常が当たり前になりすぎて、外から見たときの面白さに自分で気づけないだけです。
これは、素材を集める工程を分けると解けます。文章を書こうとする前に、まず記録を取る。現場の写真を撮る、働いている人に「この仕事のどこが面白いか」を聞いて録音する、実際の作業の様子を短い動画で残す。この段階では編集を考えなくてかまいません。素材が溜まってから選ぶほうが、頭のなかだけで捻り出すより圧倒的に速いです。
写真ひとつでも効き方が変わります。フリー素材の笑顔のビジネスパーソンより、実際の作業場や、そこで働いている人の手元が写っている一枚のほうが、伝わる情報量は多い。求職者は「自分がこの景色のなかにいる姿」を想像しようとしているので、本物であることそのものに価値があります。撮影や記事化まで含めて外に出す前提で組むなら、コンテンツ制作のように、素材集めと発信をひとつの流れとして設計してしまうほうが、途中で止まりません。
採用ページを新設する前に、今のサイトを疑う
採用に本腰を入れようとすると、採用特設サイトを別で作りたくなります。ただ、順番として先にやるべきことがあります。
ひとつは、スマホで見たときの状態です。求職者は移動中や帰宅後に、スマホで会社名を検索します。そこで文字が小さい、画像が重い、メニューが押しにくいといった状態だと、内容を読んでもらう前に離脱します。
もうひとつは、更新が止まっていないかどうか。最終更新が数年前のサイトは、「この会社は今どうなっているのか」という不安をそのまま残します。逆に言えば、直近の投稿がひとつあるだけで印象は変わります。
そしてもうひとつが、会社概要の情報量です。設立年、事業内容、拠点。求職者は、応募先が実在してきちんと続いていることをここで確認しています。地味なページですが、閲覧されている率は高い部類です。
この3点は採用のためだけの改善ではなく、問い合わせを増やす改善とほぼ重なります。二重に作る必要はありません。自社サイトが今どう見えているか判断がつかないなら、今のホームページを無料診断するところから始めると、直す順番がはっきりします。
まとめ
福岡で人を採るとき、条件だけの比較に持ち込まれると小さな会社は不利です。ただ求職者は、応募の前に必ず会社名で検索し、自社サイトで判断材料を足しに来ます。そこは項目の縛りがなく、条件以外を伝えられる場所です。
効くのは文章のうまさではなく、情報の粒度です。最初の一か月に任される仕事、一日の流れ、誰と働くか、どんな道具で進めるか。この4つを具体的に書けているサイトは、それだけで比較の土俵を変えられます。そして書けない理由はたいてい素材不足なので、写真や声を記録するところから始めるのが近道です。
採用ページを新しく作る前に、スマホでの見え方、更新の鮮度、会社概要の情報量。この3つを先に整えるほうが、かける費用に対して返ってくるものは大きくなります。
自社サイトが求職者にどう映っているか気になった方は、お気軽にご相談ください。営業の電話はしませんので、今のサイトを一緒に眺めるつもりでどうぞ。
