制作会社から毎月届くアクセス解析レポート。PDFで10ページくらいあって、グラフが並んでいて、「先月比で直帰率が3ポイント改善しました」と書いてある。最後まで読んでいますか。
正直に言えば、読まなくて構いません。あの手のレポートの大半は、読んでも次の行動が決まらないからです。数字が多いほど丁寧に見えますが、判断できない数字を並べるのは、報告する側の保険であって、経営判断の材料ではありません。
経営者が見るべき数字は3つです。3つに絞ると、月1回15分で「今このサイトは効いているのか、効いていないならどこが詰まっているのか」が判断できるようになります。今日はその3つと、あえて見なくていい数字の話をします。
なぜレポートを読む気にならないのか
理由ははっきりしていて、指標と行動がつながっていないからです。
「直帰率が改善しました」と言われて、では来月何をするのか。「PVが前月比110%です」と言われて、では売上はどうなるのか。答えられないなら、その数字は報告のための報告です。数字は本来、次の一手を決めるために見るものです。決まらないなら見る必要がありません。
もうひとつ、アクセス解析ツールは項目が多すぎます。GA4を開くと、指標の候補が延々と出てきます。あれは分析を仕事にしている人のための道具であって、経営者が毎月眺めるためのものではありません。全部見ようとして、結局一度も開かなくなる。よくある流れです。
だから最初から絞ります。判断に使う3つだけ決めて、他は見ない。これで十分回ります。
数字① 問い合わせの件数
いちばん上に置くのはこれです。ホームページの成果は、突き詰めれば問い合わせの件数に集約されます。
ここで言う問い合わせとは、フォーム送信だけではありません。サイトを見た人が起こしたアクション全部です。フォーム送信、電話ボタンのタップ、LINE登録、資料ダウンロード、地図アプリを開いた回数。自社のサイトで「これが起きたら成果」と言えるものを、最初に定義してください。
そして毎月、その合計件数だけを見る。先月何件で、今月何件か。それだけです。
大事なのは、この数字を計測できる状態にしておくことです。意外なことに、問い合わせ完了ページの計測が設定されていないサイトは珍しくありません。フォームは動いているのに、何件送信されたかツール側で数えられていない。この状態だと、他のどんな数字を眺めても意味がありません。まずここを確認してください。設定されていなければ、制作会社に「コンバージョン計測を入れてほしい」と一言伝えるだけで済みます。
件数が少なすぎて増減が誤差にしか見えない、という場合もあります。月に1〜2件だと、確かに月次では判断できません。その場合は3か月単位で見てください。四半期でも動かないなら、サイトの構造そのものに問題があります。数字を眺め続けても解決しないので、ホームページの見直しとして設計から手をつけたほうが早いです。
数字② どこから来ているか(流入経路の内訳)
2つめは、訪問者がどの経路で来たかの内訳です。GA4では「トラフィック獲得」あたりで見られます。
見るのは大きく4つの区分だけで足ります。
- 検索(Organic Search):Googleなどで調べて来た人
- 直接(Direct):URLを直接入力、ブックマーク、名刺やチラシからの流入
- SNS・外部サイト(Social / Referral):SNSの投稿や他サイトのリンクから
- 地図(Google マップ経由):Googleビジネスプロフィールからのサイト遷移
この内訳が重要なのは、同じ「訪問者100人」でも中身がまったく違うからです。
検索から来た人は、何かを探している最中です。検討度が高く、問い合わせにつながりやすい。直接流入は、すでに会社を知っている人です。名刺を渡した、紹介された、看板を見た。この比率が高いなら、サイトは新規開拓ではなく「信用の裏付け」として機能しています。それはそれで正しい役割です。
内訳を見る目的は、増やすべき経路を1つ決めることです。全部やろうとすると必ず途中で止まります。検索がゼロに近いなら記事や事業ページを増やす。直接流入ばかりなら、検索で見つかる入り口を作る。SNSから人は来ているのに問い合わせがゼロなら、SNSの投稿とサイトの中身がずれています。
判断の材料はこれで十分です。細かい検索キーワードの一覧まで見に行く必要はありません。
数字③ どのページから入ってきているか
3つめは、訪問者が最初に開いたページ(ランディングページ)の上位5つです。
多くの経営者が「トップページが入り口だろう」と思っています。実際は違います。検索から来る人は、トップページを飛ばして、自分の知りたいことが書いてあるページに直接着地します。料金のページ、特定のサービスのページ、ブログ記事。トップページが入り口の1位ではないサイトは、まったく珍しくありません。
これが分かると、手をかける場所が変わります。
いちばん人が着地しているページに、問い合わせへの導線がなければ、そこが最大の穴です。記事を読み終えた人が、次にどこへ行けばいいか分からず離脱している。ここに一言と導線を足すだけで、他に何も変えなくても件数が動くことがあります。逆に、誰も来ていないページを何日もかけて作り直すのは、いちばんもったいない時間の使い方です。
上位5つを見て、「このページに来た人は、次に何をすればいいか分かるか」を自分の目で確認してください。数字を見た後にページを開く。この2ステップだけで、直すべき場所はだいたい見つかります。
見なくていい数字と、その理由
3つに絞ると決めた以上、外すものもはっきりさせておきます。
PV(ページビュー)とセッション数。増えても売上に直結しません。問い合わせにつながらない訪問がいくら増えても、サーバーが忙しくなるだけです。上の数字②③とセットで見るなら意味がありますが、単体で一喜一憂する数字ではありません。
直帰率・エンゲージメント率。1ページで完結する内容なら、直帰率が高いのはむしろ正常です。電話番号を見て電話をかけた人も、離脱として記録されます。改善・悪化の解釈が難しく、次の行動に結びつきにくい指標です。
平均滞在時間。長ければいいというものではありません。読ませたいのか、すぐ問い合わせてほしいのか、ページの目的によって望ましい長さが変わります。単独では判断できません。
これらが無意味だと言いたいわけではありません。原因を掘るときには使います。ただ、経営者が毎月定点で見る数字としては優先度が低い、ということです。分析の専門家に任せる領域と、自分で持つ領域は分けたほうが効率がいいです。
月1回15分で終わらせる
最後に、実際の運用の話です。
月初に一度、15分だけ時間を取ってください。やることは3つです。
- 先月の問い合わせ件数を確認する(前月・前年同月と比べる)
- 流入経路の内訳を見て、増やす経路を1つ決める
- 入口ページ上位5つを開き、問い合わせへの導線があるか目で見る
これをスプレッドシートに1行ずつ記録していけば、半年後には自社サイトの傾向が見えるようになります。季節変動があるのか、記事を出した月に反応があるのか。1回では分からないことが、6行並ぶと分かります。
この「毎月同じ3つを記録する」作業自体も、レポートの自動生成で手離れさせられます。数字を取ってきて定型のフォーマットに流し込むところまでは機械の仕事です。人がやるべきは、並んだ数字を見て次の一手を決める部分だけ。こういう繰り返し作業の切り出しはAI業務自動化の得意分野なので、毎月手作業でレポートを作っているなら一度見直す価値があります。
まとめ
見るべきは、問い合わせ件数、流入経路の内訳、入口ページ上位5つ。この3つだけです。
数字を増やすほど賢く見えますが、判断できない数字は持っていても仕方ありません。3つに絞って毎月同じ場所を見る。変化に気づいたらページを開いて自分の目で確かめる。この単純な運用のほうが、10ページのレポートを年に一度も読まないより、はるかに成果に近づきます。
そして、数字を見た結果「そもそもサイトの作りが問い合わせを想定していない」と分かることもよくあります。そのときは数字の見方ではなく、サイトの設計そのものの話になります。
自社サイトの数字がどうなっているか気になった方は、無料で相談するからお気軽にどうぞ。今の状態を一緒に見て、直す順番を整理するところからお手伝いします。
