作業に集中しているときに電話が鳴る。出てみると「○○さんいますか」という取り次ぎか、「来週の火曜、空いてますか」という予約の確認。用件は2〜3分で終わります。ところが、元の作業に戻って同じ集中を取り戻すには、その何倍もの時間がかかります。これが1日に10回あれば、午前中が丸ごと消えていてもおかしくありません。
小さな会社では、電話に出る人と本業をする人が同じです。社長が見積もりを作りながら電話を取り、職人が現場から折り返し、事務の一人がすべての着信を受ける。電話の本数そのものより、「そのたびに仕事が止まる」ことのほうが問題です。
とはいえ、電話をやめるわけにはいきません。お客様にとって一番手軽な連絡手段であることは変わらないからです。この記事では、電話を減らすのではなく、電話でしか受けられなかった用件を、電話以外でも受けられる状態にするという考え方で、取り次ぎと予約受付を仕組みに置き換える手順を整理します。
まず、かかってくる電話を「中身」で分ける
最初にやるべきは、ツール選びではありません。1〜2週間、かかってきた電話の用件を簡単にメモすることです。時刻と、用件をひと言。それだけで十分です。
集めてみると、電話はだいたい次の4種類に分かれます。
- 取り次ぎ:担当者宛て、社長宛ての電話。本人がいれば数十秒、不在なら折り返しのメモが残る
- 予約・日程の確認:空き状況、予約の変更、キャンセル
- 決まった質問:営業時間、場所、料金の目安、対応エリア、支払い方法
- 本当に相談が必要な電話:見積もりの相談、トラブル、込み入った要望
ここで大事なのは、4つめ以外は「毎回ほぼ同じやりとり」だということです。人が判断しなくても答えが決まっている用件に、本業の時間を差し出している。仕組みに置き換えるべきなのは、この部分です。逆に、相談が必要な電話まで無理に自動化しようとすると、お客様の不満につながります。線を引く場所は、メモを見れば自然と見えてきます。
予約受付は「電話以外の入口」を先に作る
予約や日程確認の電話が多い会社は、ここから手をつけると効果がはっきり出ます。
考え方は単純で、お客様が自分で空きを見て、自分で予約できる入口を用意することです。オンラインの予約システムは、無料や月額数千円程度で使えるものが多くあります。空き枠をカレンダーで見せ、選んでもらい、確認のメールを自動で送る。予約の変更やキャンセルも、お客様側で完結できるように設定できます。
ただし、予約システムを契約しただけでは電話は減りません。お客様がその入口に気づかなければ、これまでどおり電話をかけてきます。入口は、お客様の目に入る場所に置く必要があります。
- ホームページのトップと、各サービスのページに予約ボタンを置く
- Googleのビジネスプロフィールに予約リンクを設定する
- 予約確認のメールや名刺、店頭の掲示にも同じリンクを載せる
特にホームページは、スマートフォンで見たときに予約ボタンがすぐ押せる位置にあるかどうかで結果が変わります。予約の入口をサイトのどこに、どう置くかは、ホームページの設計そのものの話です。
もう一つ、見落とされがちなのが「電話で予約を受けたとき」の扱いです。電話の予約を紙の手帳に書き、ネットの予約は別の画面で管理していると、二重予約が起きます。電話で受けた予約も、同じ予約システムに入力する。受付の窓口は複数あっても、台帳は一つにする。これを最初に決めておくと、あとで混乱しません。
取り次ぎは「今すぐつなぐ」をやめる
取り次ぎの電話で時間がかかるのは、担当者を探す、呼ぶ、不在なら折り返しのメモを書いて渡す、という一連の動きです。そして、そのメモが机の上で埋もれて、折り返しが遅れる。
ここは、「電話を受けたら、その場で本人につなぐ」という前提を見直すところから始めます。多くの用件は、数時間以内に折り返しがあれば十分です。そうであれば、電話の内容を記録して、担当者に確実に届く仕組みがあればいい。
具体的には、次のような置き換えが考えられます。
- 電話代行サービス:外部のオペレーターが会社名で電話を受け、用件をメールやチャットで知らせてくれる。月額制で、受電件数に応じた料金体系が一般的です
- 自動音声の振り分け:「予約は1番、それ以外は2番」のように案内し、予約の用件にはSMSで予約ページのURLを送る
- 留守番電話の文字起こし:留守電の音声をAIで文字にして、チャットに流す。聞き直す手間がなくなり、移動中でも内容を確認できます
どれを選ぶにしても、ポイントは「記録が一か所に集まり、誰が対応したかが分かる」ことです。メモが人の手を渡り歩く状態をなくすだけで、折り返し漏れはかなり防げます。電話の内容をチャットに流して担当を振り分けるような連携は、AI業務自動化の得意な領域です。
決まった質問は、電話の前に答えておく
営業時間や場所、料金の目安といった質問の電話は、ホームページに答えが書いてあれば、そもそもかかってきません。かかってくるということは、書いていないか、書いてあっても見つけにくいかのどちらかです。
最初に取った電話のメモが、ここで役に立ちます。よく聞かれる質問を上から順に並べ、それぞれに短い答えを書いて、「よくある質問」としてサイトに載せる。電話の自動音声で「営業時間はホームページでご確認いただけます」と案内するのも一つの方法です。
チャットボットを置くという選択肢もありますが、答えの元になる情報が整理されていないうちに導入しても、うまく機能しません。先に質問と答えの一覧を作る。チャットボットはその後で十分です。
置き換えを進める順番
ここまでの話を、進める順番にまとめます。
- 電話の中身を1〜2週間メモする。用件の種類と件数を把握する
- 件数の多い用件から一つだけ選ぶ。予約が多ければ予約から、質問が多ければ質問から
- 電話以外の入口を作り、目に入る場所に置く。サイト、Googleのプロフィール、名刺
- 電話で受けた分も同じ台帳・同じ記録先に入れる。窓口は複数でも、管理は一つにする
- 1か月後にもう一度メモを取り、減った用件と残った用件を見比べる
一度に全部を変える必要はありません。一つの用件が仕組みに乗れば、それだけで1日の中断が目に見えて減ります。減ったことを実感できると、次の用件に手をつけるのも楽になります。
まとめ
電話に追われる状態は、忙しさの表れでもあります。ただ、その忙しさの多くが「毎回同じやりとり」でできているなら、それは人がやらなくていい仕事です。
取り次ぎは記録して確実に届ける仕組みに、予約はお客様が自分で完結できる入口に、決まった質問は電話の前に答えておく場所に。そうやって置き換えていくと、電話は「本当に相談が必要な人」からのものが中心になります。お客様とちゃんと話したい電話にこそ、落ち着いて時間を使えるようになります。
自社の電話のうち、どこから仕組みに置き換えられそうか、一緒に整理してみたい方は無料相談からお気軽にどうぞ。電話の中身を伺うところから始めます。
