「うちはまだ実績が少ないので、ホームページを作っても載せるものがないんです」
創業まもない会社や、新しく事業を始めた会社から、よく聞く言葉です。気持ちはわかります。同業のサイトを見れば、導入企業のロゴがずらりと並び、施工事例が何十件も載っている。それと比べたら、自社のページは空白だらけに見える。
ただ、ここには思い違いがあります。お客様は「実績が多い会社」を探しているのではありません。「頼んで大丈夫そうな会社」を探しています。実績の数は、それを判断するための材料のひとつにすぎません。そして材料は、他にもあります。
この記事では、実績が少ない状態からでも積み上げられる信用の材料を、効果の高い順に整理します。数を待つ必要はありません。
信用は「不安を消した数」で決まる
そもそも、人はなぜ発注をためらうのでしょうか。理由は単純で、怖いからです。
- 頼んだ相手が何をしてくれるのか、はっきりしない
- いくらかかるのか読めない
- 途中でどうなるのか想像できない
- 相手がどんな人間なのかわからない
実績一覧は、この4つの不安をまとめて薄めてくれる便利な道具です。「他の会社もこの人に頼んだ」という事実が、判断を肩代わりしてくれる。だから多くの会社が実績を並べます。
逆に言えば、実績がなくても、この4つの不安を一つずつ潰していけば信用は成立します。実績は近道であって、唯一の道ではありません。実績ゼロの会社がやるべきは、「実績がある風に見せる工夫」ではなく、「不安を個別に消す作業」です。
ここを取り違えると、意味のない見栄えづくりに時間を使うことになります。素材サイトの外国人が握手している写真を貼っても、誰の不安も消えません。
最初にやるべきは「手の内を見せる」こと
実績が少ないときに一番効くのは、仕事の中身を丸ごと開示することです。
具体的には、次の3つです。
1. 進め方を工程で書く
問い合わせから完了まで、何をどの順番でやるのか。何週間かかるのか。お客様側に何をお願いするのか。これを箇条書きで並べるだけで、「途中でどうなるかわからない」という不安はかなり消えます。実績がなくても書けます。むしろ、まだ件数が少ない今のほうが、一件一件の工程を正確に思い出して書けるはずです。
2. 料金の考え方を書く
金額そのものを出せないなら、決まり方を書きます。何によって高くなり、何をすれば抑えられるのか。「お問い合わせください」の一行だけで済ませているページは、相手に電話をかける決心を要求しています。ハードルが高すぎます。
3. できないこと・向かない相手を書く
これは効きます。「こういう案件はお受けしていません」「この規模の会社には合いません」と書いてある会社は、正直に見えます。すべての人に向けて「なんでもやります」と言う会社より、はるかに信用されます。加えて、合わない問い合わせが減るので、こちらの時間も無駄になりません。
手の内を見せる、という行為は営業活動というより、地図を渡す行為に近い。地図がある相手には、人は安心して近づいてきます。この考え方はWeb制作でページ構成を組むときの土台にもなります。
顔と過程は、実績の代わりになる
実績一覧が「結果」を見せるものだとすれば、その手前にある「人」と「過程」も、同じくらい判断材料になります。
まず、人。誰がやるのかがわかるだけで、印象は大きく変わります。代表の顔写真、経歴、なぜこの事業を始めたのか。凝った文章はいりません。堂々と顔を出している、それだけで匿名の会社より一段信用されます。写真の質はここでケチらないほうがいい。スマホで暗い場所で撮った一枚は、逆効果になることがあります。
次に、過程。まだ納品事例が語れないなら、いま考えていることを語れます。
- 業界のよくある課題について、自社はどう考えるか
- 使っている道具や進め方について、なぜそれを選んでいるか
- 小さくてもいい、実際にやった作業の記録
この積み重ねは、実績一覧とは別のかたちで「この人は本当にわかっている」という証明になります。しかも、記事が増えるほど検索から見つかる入口も増える。実績を待っているあいだ、手が空いているならここに投資するのが合理的です。書きためた記事や写真をどう資産にしていくかは、コンテンツ制作の考え方と地続きです。
一点だけ注意があります。書く内容は、必ず自分が実際にやったこと・考えたことに限ってください。どこかで読んだ話を借りてきて並べると、読む人にはすぐ伝わります。そして一度そう思われたら、他のページまで疑われます。
「小さな実績」を実績として扱う
最後に、多くの会社が見落としている点です。実績はすでにあるのに、実績として扱っていないケースが非常に多い。
- 知り合いから頼まれた小さな仕事
- 前職や独立前に担当した案件
- 無償・格安で引き受けたテスト的な仕事
- 社内向けにつくった仕組み
これらは立派な実績です。金額の大小や、公開できるかどうかは別として、「こういう課題に対して、こう考えて、こう手を動かした」という話は書けます。社名が出せないなら、業種と規模だけ書けばいい。「福岡市内・従業員10名程度の建設業」で十分に伝わります。
もし公開できる案件が一件でもあるなら、その一件を深く書いてください。十件を一行ずつ並べるより、一件を工程まで書き切ったページのほうが、信用の材料としては強い。読む人は「自分のときもこうしてくれるのか」を知りたいのであって、他社のロゴを鑑賞したいわけではありません。
そして、案件が増えるたびに追記していく。半年後には、それが実績一覧になっています。最初から完成させようとしないことです。
まとめ
実績が少ないことは、思っているほど不利ではありません。不利になるのは、実績がないことを隠そうとして、中身の薄いページをつくってしまったときです。
- 実績の数ではなく、相手の不安を一つずつ消す
- 進め方・料金の決まり方・できないことを先に書く
- 顔を出し、考えていることを書き続ける
- 小さな仕事も、工程まで書けば立派な事例になる
どれも、今日から手をつけられることばかりです。順番としては、まず手の内を見せるページを整える。そのうえで、書きためる習慣をつくる。この2つが回り出せば、実績はあとから追いついてきます。
今のホームページで、この4つの不安がどこまで消えているか気になる方は、今のホームページを無料診断するから現状をご確認いただけます。何から手をつけるべきか一緒に整理したいときは、無料で相談するからお気軽にどうぞ。売り込みはしませんので、頭の整理のつもりでお使いください。
