会議そのものは1時間。それなのに、その前の資料作りで半日が消えている。週に一度の定例会議なら、月に2日分が「会議のための準備」に使われている計算です。
しかも、その半日の中身をよく見ると、考えている時間はほとんどありません。先月の数字を探し、表計算からグラフを貼り直し、前回の議事録を開いて「何が決まっていたか」を確認し、体裁を整える。大半は、集めて、並べて、整える作業です。
この「集めて並べる」部分こそ、AIが得意な領域です。この記事では、会議資料の下準備をAIで軽くする進め方を、順を追って整理します。
半日のうち、本当に人が考えるべき時間はどれくらいか
最初にやるべきは、ツール選びではありません。資料作りの時間を分解することです。一度だけでいいので、次の資料を作るときに、作業ごとにざっくりメモを取ってみてください。
多くの場合、次のように分かれます。
- 数字や情報を探す・集める
- 前回からの変化や、決まっていたことを確認する
- 表やグラフに整える
- 文章で要点をまとめる
- 「で、どうするか」を考える
このうち、人でなければできないのは最後の「で、どうするか」だけです。ここに使っている時間が30分なら、残りの数時間は削れる余地がある、ということになります。
逆に言えば、この分解をせずに「AIで資料を作れるらしい」と始めると、判断まで任せようとして中身の薄い資料が出てくるか、結局手直しで時間が戻ってくるかのどちらかになりがちです。
AIに任せるのは「集める・並べる・下書きする」まで
会議資料の下準備で、AIに任せやすいのは次の3つです。
1. 前回からの差分を拾う
前回の議事録や報告書を渡して、「決まったこと」「宿題になっていたこと」「次回確認するとしたこと」を一覧にしてもらう。人が議事録を読み返して探すより、ずっと早く抜け漏れなく出てきます。
2. 数字の要約文を下書きする
売上や件数の表を渡して、「前月比で大きく動いた項目」「目立つ傾向」を文章にしてもらう。グラフを見て人が言葉にしていた部分を、下書きとして先に用意できます。
3. 資料の骨組みを作る
「議題」「報告」「相談したいこと」「決めたいこと」という型を決めておき、集めた材料をその型に流し込んでもらう。毎回ゼロから構成を考える必要がなくなります。
どれも、出てきたものをそのまま使うのではなく、「下書き」として受け取るのが前提です。AIは数字の意味や社内の事情までは知りません。最後に人が目を通し、判断を書き足す。この役割分担を崩さないことが、資料の質を落とさずに時間だけを削るコツです。
型を決めると、AIの出力が安定する
AIを使っても毎回の出力がばらつく、という声はよく聞きます。原因の多くは、資料の型が決まっていないことです。
毎回違う構成、違う見出し、違う粒度で資料を作っていると、AIへの頼み方も毎回変わり、出てくるものも揃いません。反対に、会議ごとに資料の型を一枚決めてしまえば、同じ頼み方で同じ形の下書きが出てくるようになります。
型は凝る必要はありません。たとえば定例会議なら、次の程度で十分です。
- 先週決まったことの進み具合
- 数字の動き(要点3つまで)
- 困っていること・相談したいこと
- 今日決めたいこと
「要点3つまで」のように量の上限を書いておくと、資料が膨らむのも防げます。資料が長いほど会議も長くなるので、ここは意外と効きます。
材料の置き場所を揃えるのが、実は一番効く
AIに下準備を任せようとすると、必ずぶつかるのが「材料がどこにあるか分からない」問題です。数字は誰かのパソコンの表計算、前回の議事録はメールの添付、報告は口頭。これでは、AIに渡す前の「探す」作業で時間が消えてしまいます。
なので、ツールを入れる前に、次の2つだけ揃えておくことをおすすめします。
- 会議ごとの議事録・資料を、決まった一つの場所に置く
- 会議で使う数字の出どころ(どのファイルのどのシート)を決めておく
これだけで、資料作りの「探す」時間はかなり減ります。そのうえで、表計算からの数字の取り出しや、議事録の整理を仕組みにしていけば、担当者がボタンを押すだけで下書きが揃う状態にも近づけます。表計算まわりの手作業を減らす考え方は、AI業務自動化のページでも紹介しています。
いきなり全部の会議でやらない
最初から全社の会議資料をAIで作ろうとすると、ほぼ確実に止まります。型を決める、材料の置き場を揃える、頼み方を試す。どれも少しずつ調整が必要だからです。
進め方としては、次の順番が無理がありません。
- 一番頻度が高く、形が決まっている会議を一つ選ぶ(週次の定例など)
- その会議の資料作りの時間を、一度だけ分解して測る
- 資料の型を一枚決める
- 「差分の洗い出し」だけをAIに任せてみる
- 慣れてきたら、数字の要約・骨組み作りへと広げる
一つの会議で「半日が1時間になった」という実感が出れば、他の会議にも自然に広がります。反対に、最初の一つで手応えがなければ、型か材料の置き場のどちらかに問題があるはずなので、そこに戻って見直せば十分です。
会議そのものを軽くするきっかけにもなる
資料作りを分解していくと、副産物として「この資料、そもそも誰も読んでいないのでは」「この報告は会議でなくても共有できるのでは」という気づきが出てきます。
AIで下準備を軽くすることは、単に作業時間を減らすだけでなく、会議の中身を見直すきっかけにもなります。報告は事前に資料で済ませて、会議の時間は「決めること」に使う。そうなれば、準備の半日だけでなく、会議そのものの1時間も、もっと意味のある時間に変わっていきます。
まとめ
- 会議資料作りの時間を分解すると、人が考えるべき時間はごく一部です
- AIに任せるのは「差分を拾う」「数字を要約する」「骨組みを作る」といった下準備まで。判断は人が書き足します
- 資料の型を一枚決めると、AIの出力が安定します
- 材料の置き場所を揃えることが、実は一番効きます
- 最初は一つの会議から。手応えが出たら広げていきます
資料作りに追われていた半日が、次の打ち手を考える時間に変わる。そう考えると、ちょっとワクワクしてきませんか。
「うちの会議資料だと、どこから手をつけるのがいいか」を一緒に整理したい場合は、無料相談からお気軽にどうぞ。今の作業の流れを伺うところから始めます。
